ライナーノーツ
|花隈モダン通り
花隈駅の西改札口を降りるや、坂のふもとにはモダニズム建築の寺院がそびえる。その建築物に面する通りから、宇治川へと歩を進める道すがらには、古めかしくも味わいのある名店が軒を連ね、人びとの往来を見守っている。かつては花街として賑わいを見せた花隈。ノスタルジックな通りには、今でも小粋な三味の音色が響いているはず。
|昼下がりの食奏(アンサンブル)
路上で美しい旋律を奏でる演奏家が、一期一会の通行人と心をひとつに通わせる。やがて、その高揚感は波紋のように広がり、まばらな人通りは、いつしか大きな群れをなす。人から通りへ、通りから街へ。音楽が共通の言語となり、人間社会のあらゆる垣根を越えて、幸せな世界を築いてゆく。ありふれた日常、ささやかな贅沢、満ち足りた昼下がり。